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苔の育て方総論

苔の育て方・増やし方・楽しみ方 /苔の育て方~総論編~

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苔を育てる基礎知識



1.苔はやっぱり山野草

まえがき

従来、苔の育て方を解説するに当たり、自然の環境の中で育つ苔を重要視せずに解説される内容が解説書をはじめインターネットでも時折見受けられるかと存じます。
なぜ山の中で育っているのか、育つ理由がそこにはあるのではと考えられます。
苔を育て、「何回育てても枯れてしまう」という話を良く耳にしますし、尋ねられてしまいます。そこには自然に育つ環境を理解されずに育てられるということに他ありません。
苔もいろいろ、好む環境も様々、基本となる考えを解説したいと思いますのでぜひ御一読をおすすめいたします。
そしてそこには苔の全体像がわかってくるのではと思います。


(1)苔は自然の中でしかも山の林床に多く生育する野生植物です。
野生植物といえば山野草と呼ばれてきました。ところが苔は従来よりコケ植物として独立して扱われてきました。
但し、「苔を育てる」育て方となりますと、「山野草を育てる」育て方に準じて行っていただければ比較的育てやすいのではと思います。

(ア)それは「日陰を好む野生植物、その特徴は夏の高温多湿に弱い」という共通した特徴があります。それにて夏日陰の植物つまり「非耐暑性 日陰の多年草」という ことになり、今日的に言いますとシェードガーデンということになります。
高温多湿に弱いという性質から、日照条件及び湿度の条件、例えばそのコケ植物の好む環境より多湿な条件である場合(それだけではないのですが) 本来地面の土壌に育つべきコケ植物が
   ①幹に着生
   ②倒木に生育する
   ③腐葉土の上に生育する
という、通気性を求めいわば適湿に応じた生育環境のみ育っているといえるかもしれません。
例外的にそこに土壌と少しも違わない環境があったので着生して育っている場合もあります。
これらのコケ植物が育つ環境がたまたま腐葉土の上に育っている生態を見て、ある解説書は腐葉土を苔は好んでいると解説されている場合がありますが、 腐葉土を好んでいるのではなく、その環境を好んでいるのです。


ハイゴケ  於:京都丹波高原 2017年11月10日
谷間の開けた集落の庭に生育が見られました。ウマスギゴケと共生しており、湿潤であっても夏気候が涼しいと生育する環境かと考えられます。 渓谷とも言える谷に入りますと、薄暗く、日光を好むハイゴケは見られません。
但し、少し開けたところには通気性を求めて倒木の上に生育している姿が見られました。

(イ)コケ植物もその性質に応じて環境を選び適応しているかと考えられます。例えば、日陰で乾燥を好むホソバオキナゴケから、多湿というよりも 湿生植物と思われるコウヤノマンネングサまで多様性が見られます。



ホソバオキナゴケ

コウヤノマンネングサ

(ウ)そして「水を好みながら耐暑性のあるウマスギゴケ等」はより明るいところでも生育する特性を持ち合わせており、当京都の寺院の庭園には なくてはならないものになっているのではと思われます。

生育地を訪ねる 於:京都丹波高原 2017年11月10日
  ~京都の苔庭の美しいお寺の原点が見られました~
スギゴケは本来「山の日陰の湿地に生育する」という特性を持っています。
そこには山に降る雨が地下水脈(伏流水)となって滲みだし、そこには様々なコケ植物が育っています。
このウマスギゴケもこの斜面の家屋の左側には山からの水が大きな池に流れ込むように流れています。その山水がこのようにウマスギゴケを育てているものと思われます。
そしてその家の前にはウマスギゴケと共にハイゴケ・スナゴケが成長しています。つまりウマスギゴケは本来日陰の苔であったのですが、耐暑性があったのか、直射光線下でもよく育っていました。ハイゴケも水の供給がうまくできておりますと、直射光線下で育つという従来「明るいところを好む」ということになっているのでは。

実際に山へ行きますと、苔と山野草は同居して生育している姿が見られます。


谷川の渓流沿いにウマスギゴケ・オウオウゴケ・ジャゴケ等が岩にへばりついて育っています。
そこにタツナミソウが栄養不足ながら何とか花を咲かせていました。
そのタツナミソウ、沢沿いの林床にかわいく咲いていました。
周りにはヒカゲノカズラも多く生育しており、かなり暗い林床のイメージでした。
マツカゼソウも沢沿いの腐葉土の層に生育しているのにはびっくりしました。 その沢の林床の大きな石に一面はびこっている苔(何コケかは不明)にシダが育っていました。
場所は変わるのですが、岩場ののり面に雨水が滴るところにウマスギゴケ・シノブゴケ・水苔等が 生育し、そこにはショウジョウバカマが見られました。 同じく水苔とダイモンジソウのコラボでよく育っています。






2.苔の育つポイントは

まえがき

1.色々な苔を育てる解説書或いはインターネットでの解説では、同一の苔であっても解説者によって様々な育て方の解説があって 読者の皆様は迷っておられるのではと思います。

2.例えば、以前人気のあったウマスギゴケ。京都のお寺のその美しさに魅せられ、ご自宅でも「張るならスギゴケ」ということで大変な人気でした。
それが今日、人気は今一歩となってしまいました。そこには張りたい方への正しい情報が伝わらなかったからではないでしょうか。

3.スギゴケの育て方の正しい情報とは「湿生植物」であったことです。弊園ではウマスギゴケの解説(2013年10月29日付の育て方解説)をしての通り、 「水を好む」湿生植物の育て方がポイントとなっております。
その湿生植物の特性、つまり基本を無視しての育て方はやはり育たないのではと思います。結果として庭で育てるのは難しく、家庭にあっては鉢植え、 テラリウム限定といえるウマスギゴケかと考えられます。

4.そのようなことで、造園を業とされているプロの方々も含めまして参考となる解説を100%と言えないまでも皆様に納得いただける解説をと考えております。
皆様のご批判をお待ちしております。



(1)

(ア)従来、「苔の育て方」を解説するに当たり「苔が育つ環境」を解説される場合が少なくなかったと思われます。
この「苔の育つ環境」こそが最重要であって、その環境作りが最大の「苔の育て方」のポイントかと考えられます。
その環境とは山へ降る雨水が地下水脈を通じて自然給水となり、コケ植物の成長を潤し、或いは山を被いかぶさる木々の蒸散作用による空中湿度の保持と日陰が コケ植物にとって最大の恩恵を得る環境だったのではと考えられます。


(イ)ここでは家庭園芸と同様、手軽に水やり等の管理ができる方法、つまり屋外で鉢で育てる「苔盆栽」「苔園芸」「ベランダ園芸」等、 自然の雨に当て、春から秋の成長期には古老が言うところの夜露に当てるという、限りなく山野草的に育てる方法で解説したいと思います。
そこには育て方の基礎がわかる苔の観察の毎日と合わせて、自然の苔の生育地をビギナーの方にご紹介したいと思います。 苔の育て方「苔の種類と特徴」以下、 「苔探訪 古寺・旧跡等を訪ねて」或いは 「苔の生育地を訪ねる」等を 参考にしていただき、育て方の経験を積むことによって応用編である苔玉の管理、テラリウムの管理方法等が ご理解いただきやすいのではと思います。


(ウ)苔の育て方を山野草と比較して見ますとどうなるのでしょうか。
山野草の育て方 の中で山の林床の日陰で育つ「山草」に分類される多年草は要約すれば「夏日陰の宿根草」或いは 「夏半日陰の宿根草」と要約され、コケ植物と比較してみたいと思います。
コケ植物はなぜ日陰を選んだのでしょうか。そこに苔を育てる大きなヒントがあるように思われます。
その前にコケ植物の定義はといいますと、
   1.光合成を行う
   2.維管束(水分や養分を運搬するパイプ)がない
   3.根といわれるものも無く、仮根(着生するための器官)といわれる組織となっている
   4.胞子で増える
 以上コケ植物の特徴を現されています。


(エ)コケ植物は地表面を被い、山野草のように大きく育たない植物です。
そこにはコケ植物の特徴である根が無く仮根といわれる植物体を地表面、岩石、樹木にしがみつく組織があるのみといわれています。
この仮根は根のように水を吸い上げることができないとされています。また、 コケ植物には維管束といわれ、水や養分を運ぶ組織が無いといわれ、そのことが草木である山野草とコケ植物の根本的な違いがあるように思われます。
従来、仮根と維管束の解説は以上のように説明されてきたかと考えられます。
弊園の短期間の経験ですが、上記の解説が本当に的を得ているかと疑問に思わざるを得ないのです。特に水を好むコケ植物、湿潤を好むと 表現されているコケ植物は上記の解説では説明しきれない現実があるかと考えられます。


オオカサゴケ

(オ)弊園ではコケ植物には水を吸い上げる組織が無いというよりも現実には吸水力が弱いのではと考えられます。
そのことが日照を嫌い日陰へと生育場所を移動したものと思われます。
従来、この水を吸い上げる作用がないということなのですが、実際に色々と育てて見ますとそうではないことがわかってきます。
山地の半日陰或いは日陰に生育するウマスギゴケ、コウヤノマンネングサ等100%葉から水分補給を行っているとは 必ずしもそうとは言えないのではと考えられます。
つまり理論的に言いますと、ここは大事なことなのですが、一般の植物であっても根自らの吸水力は弱く、このことを根圧といっていますが、植物そのものの吸水力の 大部分は蒸散作用によるところが大半であるということは高等学校の生物に学ぶのではないかと思います。
自然ではウマスギゴケ、コウヤノマンネングサ等はその水の供給量の多い林床とその蒸散量の微妙なバランスの上に育っているのではと考えられます。


例1.コウヤノマンネングサ
川沿いの林床に生育が見られ、そこには山に降る雨水が地下水脈となってこの辺りを常に潤しているのではと考えられます。そしてそこには腐葉土が 堆積されるような地形となっており、地下茎の発達したコウヤノマンネングサが生育する好条件が揃ったところだったと考えられます。
山深い日照時間の短い山の中の田んぼは、その昔植林され今や杉林となってしまっておりました。そしてそこには今や人の住まない民家がぽつんと残され、 昔はこの田んぼで米が作られていたことを思い浮かべながらコウヤノマンネングサの美しさに見とれてしまいました。
おそらくは山の田んぼであったため、排水は悪く、そこに育った杉による日陰と長年に積もった腐葉土との条件がコウヤノマンネングサを このように育てる環境となったと考えられます。


例2.ウマスギゴケ
北向きの崖には、山の斜面に雨水が地下水脈となって滲みだしているところがあり、そこには各種のコケ植物が育っています。画像はウマスギゴケが育っている場面です。
山のきわには今は廃屋となっている民家があり、その通路は通る人もいなくなったとみえ、ウマスギゴケが育っていました。 おそらくは山に降った雨が地下水となり、この辺り一帯に滲みだしていると考えられます。谷間の開けた土地でしたが、 日照時間は限られており、一日数時間しか日が当たらない土地条件かと思われました。

(カ)更には学術的にはコケ植物の定義はいっているものの「水は吸わない」とは論ぜられていないと考えられます。 やはり光合成をするといことは蒸散作用があり、吸水作用は自ずとされているのではと思います。
そのことを理解されずに解説書は解説され続け、今日のインターネットへと引き継がれているのでは・・。
たしかに吸水力が弱いことによって他の植物では見られることが少ない「葉からの吸水力」が大きな割合を占めているのは コケ植物であると考えられます。
日陰の常に水に接するところに生育するウマスギゴケ・コウヤノマンネングサは好水性或いは耐水性があると考えられ、好気性と併せ持つ 湿生植物の特徴を持っていると考えられます。


腰水栽培の例 : コヤノマンネングサ

(キ)実は山野草の中で池・沼のほとりに育つ湿生植物と同様の腰水栽培が最も合理的な育て方であって、 皆様も「コケは根から水を吸わない」という先入観から「苔を育てる」上での理解が少し違ったのではと思われます。
「維管束がない」という定義から、イコール水を吸わない或いは肥料を吸収しないという解説が連鎖反応式に解説され続けているのではと思います。


(ク)或いは培養土ではガーデニングで、土を改良する腐葉土等の施用が本来畑栽培で解説されるべき問題を鉢栽培と同一視され、 使用法が正しいとは言えない解説が長年され続けているのではと考えられます。


(ケ)(先にコウヤノマンネングサで解説しておりますが) 苔の解説でも、苔が山の生育地へ行きますと腐葉土の上に生育している。つまり腐葉土を好んでいるこ解釈され、解説され続けて いるのではと思います。それは見た目はそうなのかも知れませんが、その意味するところはコケ植物が生育するに足りる環境がそこにあったからです。
ですから、自然に学んでいただきたいのは、
①まずは地面に生育する。


例:ヒノキゴケ

②やむを得ず通気性排水性を求めてより乾燥するところ、つまり倒木等に着生して生育している姿があるのではと思います。
 或いは湿度がある故、生育可能となっている場合もあるかと考えられます。


例:昼なお薄暗く空中湿度は高いと思われるところでは木の幹に着生して育つヒノキゴケの姿が見られます。

岩上、樹上、倒木等に着生する現象が見られます。その中で乾燥を好む苔と湿潤を好む苔とに分類されるかと考えられます。

Ⅰ.地面が多湿すぎて生育に適さない、どちらかというと乾燥気味を好む苔
 ホソバオキナゴケ・アラハシラガゴケ・ハイゴケ・フトリュウビゴケ等は
多湿を嫌っているかと考え、通気性の良いところに生育がみられるのでは。

Ⅱ.薄暗く、常に多湿で乾燥しにくい環境が岩上、樹上でも保たれる場合生育が見られる
 シノブゴケ・チョウチンゴケ・ヒノキゴケ・ホウオウゴケ・クジャクゴケ等
湿潤を好む湿生植物と思われる苔


    始めに腐葉土(樹皮培養土)ありきではないということかと考えられます。


(コ)テラリウム解説に於いても、カビの発生となる原因物質、つまり有機物なのですが、この有機物に当たるのが腐葉土(樹皮培養土)であって、これを 使っての混合培養土は問題があるのでは、、。
なぜなら、過度の多湿になりやすいテラリウム、特にコウヤノマンネングサ等密閉された中では腐敗菌も本来なら好気性菌なのですが、嫌気性菌に変わり、その作用によって メタンガスの発生へと作用していくことが考えられます。すなわち、有機物の混入その事自体が問題であって、根本的に言えば腐葉土等の有機質 の使用が好ましい土作りをするということが正しいとは言えない側面を持ち合わせているより他はありません。
それは、畑栽培、花壇等、地植えする場合は必ず 腐葉土を使用してください。


(サ)そのようなことで苔を育てる上で山野草的な思考により苔を戸外で自然に作る苔盆栽、ベランダ園芸、苔園芸等は 理想的な育て方を可能とする のではと思います。
山野草の育て方の分類をしますと、

乾燥を好む 山野草 日本産 多肉植物
コケ植物 ヤマゴケ(ホソバオキナゴケ) 等
適湿を好む 山野草 大部分の山野草
コケ植物 大部分のコケ
水を好む 山野草 ワレモコウ
オミナエシ、トリカブト 等
コケ植物 スギゴケ
コウヤノマンネングサ

  等に当てはまるかと考えられます。
山野草は宿根草を始めとする多年草なのですが、その根は乾燥を好む植物程好気性であり、水を好む湿生植物であってもその根は 好気性の性質は失っておらないのが特徴です。
それゆえ、一般植物を育てる培養土は通気性の培養土、つまり団粒構造が問題となってくるのは根本的には根の構造とその機能に大きな違いがあると 考えられるのではと思います。


(シ)関西では赤土といわれる通気性のない真砂土に好んでコケ植物は生育しております。むしろ保水力が問題であって、 庭では保水力のない土を使って腐葉土の混入で問題が解決されるとは思えず、定義によって苔の性質を現されているに関わらず、 仮根と一般植物の根の取り扱いは極めて曖昧であるといわざるを得ないと考えられます。



(2)以上のようにコケ植物も「夏日陰の多年草」或いは「夏半日陰の多年草」に当てはまり、 「乾燥を好む」「適湿を好む」「水を好む湿生植物」等に分類されて行くのではと思います。
その分類によってコケ植物の生育する自然に学び、その性質から管理法が決定されるのではと考えます。
幸いに鉢植えは庭と違い、人の手で水やりは手加減ができ、育て方をコントロールするには最適な栽培法です。 失敗しても原因がわかりやすく、対処法も容易ではと思われます。
ぜひ苔盆栽からスタートしてみて下さい。


2017年10月13日 記入 
2017年10月19日 追記 
2017年10月25日 追記 





3.苔の水分吸収と実際の水やり

  苔の水分吸収     
 (1)苔はどのようにして水分を吸収するのでしょうか。

(ア)コケ植物の定義から言いますと、「コケは水分・養分を運ぶ維管束がなく、仮根といわれるコケを固定させる組織があるのみ」といわれてきました。
前項に書きましたように「仮根が水・養分を吸収しない」というイコールにはならないのではと考えられます。


(イ)そのようなことで水分及び栄養は葉と思われる部分から吸収される。と言われてきましたが、長年の経験から疑問に思え、色々と試作してきました。


(ウ)自然に於いてはコケ植物は降雨により水分を補給し、乾燥すると葉を縮め、休眠状態になっているのではと思います。


ハイゴケの乾燥状態
2017年7月23日 唐招提寺庭園にて

(エ)この乾燥状態の縮った状態になりますと、「霧吹きで水分補給してください」とか、苔玉に至っても「霧吹きでやってください」と解説がなされている場合が 稀にあるかと存じます。


(オ)現実にはその程度の水分補給で充分なのか疑問に思えます。その程度で済む場合は湿度100%に近いテラリウムの中の苔ボトル に限られてくるのではと考えられます。


(カ)おそらくはその解説者は「苔の定義」を意識しての解説かと考えられますが、実際には異なる場合が多いかと考えられます。
だは実際にはどうすればよいか?ということになります。


(A)例えば山地の湿地に生育するウマスギゴケの育て方を、2013年10月29日に解説しております通り給水トレーに水漬けして育てておりました。
このことはお客様よりご相談の中で「スギゴケを植えましてもすぐ茶色くなる」という悩みをお聞きし、山野草の経験から湿生植物と考え、 給水トレーにて育てましたところ、翌年の秋まで茶色くならず育ってくれました。


(B)そしてこの「苔の育て方」を解説に当たり、ウマスギゴケのことを色々調べておりますと、「KOKEYA.com」さんのネットショップの解説にある通り、 「新潟では一年中、水が5cm位停滞しているところにスギゴケが生育しています」と解説されています。


(C)そして学術的には牧野植物図鑑を紐解きますと、ウマスギゴケの解説は「山地の湿地に自生する」とした内容となっております。


(D)前記の解説はいずれも山野草で言えば湿生植物の範疇に入る内容と考えられます。
湿地それ以外の土地で自然の条件で育てるには少し無理があるかと考えられ、保水力のある土が必要との解説がなされる場合も見受けられますし、 庭園施工で川砂を使用するということは理論的にも合致しないのではと考えられます。
色々と試作しますとそう簡単なものではなく、やはり「茶色くなって行く、或いは播き苔をした場合は育たない」という現象になるのではと考えられます。
山野草でもワレモコウ等湿生植物はやはり水不足により茶色く変色し、生育不良となる場合が多く見受けられます。


(E)そのようなことで上記以外に”乾燥を好む苔”・”適湿を好む苔”と大別した分類にて解説する必要があり、 読者の皆様にもよりご理解いただけるのではと考える次第です





(2)乾燥を好む苔
乾燥を好む苔の代表は何といってもホソバオキナゴケ通称ヤマゴケ、別名マンジュウゴケといわれるシラハゴケ科のコケです。 そして高温多湿に最も弱い特徴があります。
この夏以降、生育地を訪ねております。


(ア)奈良 唐招提寺を訪ねる 2017年7月23日

境内は乾燥すると見え、ウマスギゴケは茶色く焼けハイゴケは縮んで休眠という具合です。
ホソバオキナゴケはこの乾燥状態が余程気に入ったと見え、鑑真大和上の霊園の前庭にはこのホソバオキナゴケは見渡す限り といっても良いほど緑の絨毯でした。

開山堂付近

桧は乾燥状態の山によく見られるのですが、ここ唐招提寺でも境内ではホソバオキナゴケが桧の株元の地表面で生育しておりました。
マンジュウゴケと言われる由縁です。

開山御廟(鑑真大和上霊園)

やはり御廟内も常に乾燥すると見え、ホソバオキナゴケが一帯に地表面にはり付いております。




(イ)三木市 秀吉本陣跡を訪ねる 2017年8月14日

頂上に登るとホソバオキナゴケがあちこちに見られます。
頂上は乾燥するとみえ、地表面に直接生育しています。
途中のホソバオキナゴケの生育状態です。山に降った雨水が山の裾野へ行くほど地下水脈となって地表からしみだしてきます。
そこでホソバオキナゴケは多湿を嫌い、朽ちた倒木の上に成長する現象が見られるようになります。



(ウ)その他の苔

色々あると思いますが、特徴として密生して生育するコケ植物は大体に於いて乾燥を好む性質があるかと存じます。
気温が高くなる季節、水やりをしますと蒸れやすく茶色くなるタイプが多いです。




 (3)多湿というよりも湿潤を好む苔
(ア)アラハシラガゴケ

(イ)オオカサゴケ




(ウ)ウマスギゴケ

2017年10月15日 (1)記入 
  2017年11月02日 追記 
  2017年11月16日 追記 



 実際の水やり     

(1) 基本的に苔の水やりはやはり自然と同様の環境に於いて育てることです。
基礎がわかり、後々「苔の育て方」がわかるのではないでしょうか。


(2) それには手軽に楽しめるベランダ園芸的なものが一番良いかと思います。
具体的には、適当な鉢を選び、培養土を入れそこに苔をのせるという極めて単純な作業です。(培養土はなくてもかまいません。)



平成28年春より浅鉢にスナゴケを土を入れずに置いておきました。夏の炎天下にも無事枯れることなく11月下旬の今日、水やりだけで育ってきました。
このことからも乾燥に強く、土がなくとも育つということが御理解いただけるのではないかと思います。



約一年後の経過ですが、水だけで育っているのですが、ほとんど成長しておりません。
そこには 水+栄養 つまり肥料が必要となってくるかと考えられます。

(3) そして色々な苔を直射日光で育てる、或は日陰で育つ苔は日陰で育てるという、環境設定ではいかがでしょうか。


(4) 次に水分を多く必要とする苔、或は比較的乾燥を好む苔と段々管理していきますと、その管理方法が分かってくるのではないかと思います。
そして上記の光線量と水分が微妙な組み合わせによって絶妙に育っていく事がわかります。


(5) 結果として「苔は枯れない」という事がわかって来られるのではと思います。よく”枯れます”といわれるのですが、 それは大抵休眠状態になっているのではと思います。環境状態が良くなれば復活するのではと思います。 (水のやりすぎによるムレの場合は枯れる場合があります。)


例1.シノブゴケの鉢植え

春から戸外に自然に放置。夏の炎天下は雨も降らず、シノブゴケの姿すらありませんでした。
そこへ8月下旬から9月上旬の台風による集中豪雨。一気にシノブゴケが復活しました。
つまり、炎天下に置かれても休眠状態になり、条件が整えば生育を始めることがわかります。
つまり、乾燥には強いことがわかります。


例2.ハイゴケの鉢植え

同様にシノブゴケの横に置いてありましたハイゴケです。
やはり夏の間休眠しておりましたが秋とともに生育をはじめました。


例3.ハイゴケの苔玉のなれのはて

何年か前にアシズリノジギクの苔玉を作り、水盤に置いて観賞しておりました。その後、その状態で放置。
何年か後、戸外炎天下もものともせずにハイゴケは水道水だけでこのように育ってきました。
水分補給がなされれば炎天下でもハイゴケは枯れませんでした。

(6) 注意点:苔は乾燥状態になりますと大変軽くなります。鉢の上に置いて管理しておりましても、植え付け当初1~2ヶ月は仮根が活着せず、 ハイゴケ・シノブゴケ等は風に飛ばされてしまいます。
活着するまでは木綿糸等で鉢に苔を巻きつけて下さい。活着する頃を見計らって糸を外してください。


(7) 季節はやはり春と秋が最適かと思いますが、夏でも冬でも問題はないかと思います。 少し苦労するかもしれませんが、それも経験です。「思い立ったが吉日」です!





4. 苔の育て方 茶色くなる

(1) 春秋の季節の良い頃に、日光のよく当たる、風通しの良いところで苔を育てますと苔の性質がよくわかります。

(2) そこには、霧吹き程度の水ではまったく水分が不足している事がわかってきます。
  やはりジョロ等で水をたっぷりやらなければならないことがわかります。

(3) そして培養土を入れ、その上に苔を育てたものは水分補給がなされ、乾湿の差がやわらかくなり、一日一回、
  または二日に一回のタイミングの水やりで良いことがわかってきます。

(4) そのタイミングとは、
  一年を通じて”乾けばやる”というのが最大のコツです。苔が乾き縮まった時を見計らっての水やりがベストです。
  例えば乾燥を好む苔に毎日のように水やりしますと、いつのまにか苔が育つどころか
  小さくなっていくことがわかります。そして水分を好む苔は乾燥させることにより植物体がいつも縮まった状態で
  成長していかないこともわかってきます。

シノブゴケの日焼け


準備中





5. 苔は土が無くても育ちます

(1) 栽培編

1) 前述の「2.実際の水やり」編で土が無くても育つスナゴケや天然ハイゴケの商品解説には、新聞紙一枚で育って行く解説をしております。

2) 植物を育てる趣味家は「植物を育てるには土が必要」との先入観が先に立っているのではないでしょうか。
  苔は根が仮根といわれる苔を支えるだけのものでしかありません。水分と栄養分は葉から直接吸収するのです。
  ですから新聞紙一枚で育ちます。

3) 実践!弊園で土なしで苔を育てました。
ア)ハイゴケ 大トレー
 昨秋にハイゴケを育てやすく、取り出しやすく、そして張りやすくするために大トレーにネットを敷きました。
 そして育ったのがこの状態です。(2017/02/25)
 
 冬の厳寒期でも少しづつ育っています。(2017/02/25)

拡大

裏返した状態



イ)稲作用のトレーにハイゴケ
 これも昨秋にコマ切れのハイゴケを土無しで敷きました。
 そしてこの冬の間に育った状態です。(2017/02/25)

拡大

裏返した状態



ウ)イチゴパックにハイゴケ
 昨秋に穴のあけたイチゴパックにハイゴケのクズ苔を並べました。
 そして現在の生育状態です。(2017/02/25)

裏返した状態

裏返した状態
 
 土は無くとも育っています。



エ)シノブゴケを土の無いイチゴパックで
 右手にあるのがシノブゴケです。(左はハイゴケです。)
 昨秋に入手したシノブゴケを穴のあけたイチゴパックに並べました。
 
 そして育ったシノブゴケを裏返してみました。(2017/02/25)

裏返した状態

シノブゴケの育った状態




4) 庭に苔を張る条件として土をいれるというのは必須条件ではありません。
  要は、苔が必要とする水分補給をうまく調整できるかという問題だけの話です。

(2) 自然では

道路を走っていますと、コンクリート面に苔が育っている場所を見ることができます。
ア)コンクリートの壁面に銀苔・ビロード苔が育っています
 
 
 やきものの里 信楽焼へ仕入れに行く途中、コンクリートの壁面に苔が育っていました。
 苔の種類は主として銀苔の中にビロード苔(緑の濃い苔です)。
 この銀苔は日光を好み、水分さえあれば一年中育っているかと思います。そしてビロード苔はやはり日光を好むのですが、
 寒い季節のみ現れるのではないかと思います。
 崖になっているのですが、おそらくは地下水の水脈になっているのでしょうか。
 崖から水が出ている部分のコンクリート壁面は常に濡れている状態、つまり銀苔にとって最高の環境を生み出しているわけです。
 適当な水分と、土の中を通ってきて肥料分も含んだ雨水が栄養となり、このような景観を生み出したものと思われます。
 水脈の無い、水の流れていないところは常に乾燥している状態ですのでやはり苔は育っていません。
 上記のことから「庭に苔を張る」条件としてその苔の好む条件が苔が育つということになってきます。
 


イ)岩場に育つハイゴケ(於 和歌山県 2017.03.16)
 
 
知人に依頼しまして特に「土の無い」岩場等に自生するハイゴケの画像を送っていただきました。
水分さえあれば育っているハイゴケ自生の状態です。
 


ウ)コンクリート面にビロードゴケが育っています。(2017年7月1日 撮影)
 
   京都から信楽へ
 
 
 


エ)コンクリート (2017年7月12日 撮影)
 
 
 

平成29年7月14日  





6.苔の育て方 土を考える

(1) 基本的な考え

(ア) 苔は土が無くとも育ちますが、それだけに自然環境下では乾湿の差が大きく、うまく育てるには培養土があることにより安定した環境を作り出せるかと存じます。

(イ) その培養土も諸説多々ありまして、どの解説が正しいのかということになります。
弊園で試作しましたところ・・

例:スナゴケ いずれも2017/06/19撮影
(A) 昨年秋、スナゴケをカットし床土には市販の赤玉土小粒を使用した上に播き苔をしました。
当初仮根が出ない間に乾燥させましたところ、粉苔は風に吹かれてどこへやら。
でも赤玉土を使用していることがよくわかる画像です。
(B) こちらは川砂というより山砂の使用です。
今では見られなくなりました花崗岩の自然風化した山砂。角張った理想的な砂です。
その上に同じ頃スナゴケの粉苔を播き苔に。
(C) そしてこの春(平成29年)育ったスナゴケは本当にきれいでした。
その後スタッフ共々仕事が忙しく、水やりも1日1回ができずに2日に1回という回数が多く、そして今日のスナゴケです。
赤玉土単体も、良質の山砂も外観は変わりません。
つまり、川砂がよいという説は理論に基づいたものではなく、結果として「入手しやすい安価な赤玉土で充分である」ということです。

(ウ) 空梅雨から一転してよく雨が降りました。

2017/06/29撮影
左側より
赤玉土・山砂(川砂)・用土無し
発砲スチロールにスナゴケだけを入れた培養土なしの養生です。
上面が少し焼けているのは西日がよく当たっているからではと思います。
この小トレーのスナゴケも昨年秋に採取した、良く育っていたスナゴケです。
もちろん底面はネットだけです。
左側より
赤玉土・山砂(川砂)・ネットだけの用土なし
この画像の三者三様を見る限り、雨さえ、つまり給水さえ充分であれば用土の条件は関係ないように思えてなりません。


(2) 実験結果のまとめ

(ア) 手のひらサイズの苔盆栽から庭園まで、いまや全国どこでも入手しやすい安価な赤玉土を使用することが合理的であることがわかります。

(イ) 弊園では鉢(プラ鉢・陶器鉢等)で色々な苔を育てるには、通気性はもちろんのこと、見た目の良さ、品の良さ等で「山野草の土」を使用されるとことおすすめいたします。
植物が最高に育つことを究極に考えられた培養土です。苔ももちろん”コケ植物”という名前が正式なのですから。
テラリウム・苔ボトル等にも最高の品質を保証いたします。



準備中





7. 苔の育て方 肥料について


(1)諸説色々あってというよりも、この解説に当たり初めて皆様の苔の育て方を参考にさせていただきました。
そして当方の見解は苔植物を上手に育てるには「初めに肥料ありき」です。


(2)なぜなら苔といえども植物の範疇に入るからです。
つまり葉緑素を含んでおり、光合成を行い、それによって成長しているわけですから、一般の植物と変わりません。だから苔は緑色をしているのです。
一説には北半球の高層湿原に分布する水苔のCO2の吸収は植物全体の何割かに当たると言われています。
そう考えますと苔も植物が育つ上でのミネラルつまりN・P・K窒素・リン酸・カリウムを始めとする10元素を必要とする植物に他ならないのです。


(3)弊園では苔にも肥料が必要というのは疑う余地がないものと考え、どのように施肥していくかと常に考えてきました。
例としてスギゴケの育て方2013年10月或いは11月の解説文中に「液肥を使うのが最も便利かと思います」と記しています通り、 この苔の育て方を本格的に解説してきました昨年2017年9月より常に施肥してまいりました。


(4)施肥例
 (ア)スナゴケ



 (イ)ハイゴケ



 (ウ)オオスギゴケ
施肥済み水道水のみ


 (エ)コウヤノマンネングサ



準備中

平成29年7月21日     
平成29年8月24日 (エ)追記





8.苔を育てる --初心者必見--

弊園にて色々と試作しますと様々なことがわかってきます。
弊園では戸外自然栽培にて苔を育てています。それによって苔の性質も育て方も基礎がわかりますので、みなさまにおすすめです。

(1) 育てる季節は春が一番です。そして秋が二番。

(ア) 当地、京都では桜の咲き終わる4月中旬に苔の成長が見られます。

(イ) それまで苔は休眠状態にあったのですが、春の雨とともに気温が上がり、苔は一気に新芽を吹き成長を開始します。

(ウ) そのため、3月から遅くとも4月上旬には育てたい苔を準備することが後々上手く育てるコツの第一歩です。


(2) なぜ春が良いのか。それはコロニーを作りやすいからです。

(ア) 弊園では約10年前に苔を主体とした商品を製品化。その後、他の商品へ移行。その間折にふれ以前の苔の話が出ます。 そのため、時折苔の試作をしましてその辺に置いておきました。

(イ) その中でもスナゴケは一番育てたい苔でした。
2013年9月に採取したスナゴケを大トレーに播苔をしまして、その後ハス園に置いておきました。

  

2013年9月21日 採取したスナゴケ


  

 実のところ何年もの間水を一回もかけたことがなかったのです。その当時、知識も無く大トレーに培養土の空袋に切れ目を入れ、そこに赤玉土を敷き、 スナゴケを播き苔にしたものでした。
それが昨年夏、ところどころに育っているスナゴケを見まして感動したものでした。

(ウ) よく育っているスナゴケと言いましても、ビニール袋がかなり劣化し、飛び散り、スナゴケも肩身の狭い思いで育ったことかと思います。 その育ったスナゴケを持ち帰り、鞍馬石のソゲ石に置き、一年経過したものがこちらです。

平成29年6月19日 撮影

(エ) 昨年秋、弊園の取引先の倉庫前にスナゴケがビッシリ生えているところがありました。
それを採取させていただきまして、小トレーにネットと新聞紙を敷いて養生したものがこれです。

平成29年6月19日 撮影

  底には培養土は無く、秋に採取した折には自然状態でかなり育っておりましたが、この春で更に育ったものと思われます。
ところが5.6月には作業が忙しくなり、毎日だった水やりが2日に一度、3日に一度となりましてトレーの外側の渕は少し焼けてきました。 やはり乾燥が早いと見えます。それ以来、焼け石ではなく焼け苔に水とばかりに 毎日頑張っての水やり。けれども茶色くなったスナゴケはなかなか緑には戻りません。
それでも、めくりますとこの通りです。

  
平成29年6月19日 撮影

  一旦群生(コロニー)しますと、そう簡単には枯れないのが苔の性質です。保水性が高まるのではと思います。


(3) コロニーに育つかどうか。大きな違いです。

昨秋より本格的に栽培を始めましたスナゴケです。イベント用の即売にと思いイチゴパックに穴を開け、培養土を入れ、その上にスナゴケを敷きました。

(ア) 多肉植物と同じ棚に置きましたので、水やりはつい忘れがちになってしまう置き場所です。
5,6月はハス園が忙しく、この棚はスタッフに任せておりましたが、思い出したようにある日見て驚きました。




上段右側のパックは山野草と同じ棚に置き、
可能な限り管理をしていたものです。
日中も水やりをしたものですから、少し蒸れたのかもしれません。
 
同じ場所に置いてあったスナゴケ、多分焼けているだろうなと思っておりましたが、 昨年秋のイベント用に育て、売れ残っていたスナゴケは青々としていたのです。
水やりはどちらかというと放ったらかし。イチゴパックは乾燥防止にピッタリの容器だったようです。
平成29年6月19日 撮影

(イ) そして11月頃に先端部分だけをカットしまして播き苔をしたスナゴケはこれです。


   乾燥してしまっており、ミイラ化し、半端休眠状態になっています。

(ウ) こちらの右側パックは左側の先端部分だけをカットし、播き苔をした残りの下の部分の軸だけを播き苔にしたものです。


   成長点である苔の先端がないだけに、やはり成長スピードはゆっくりです。

(エ) 昨秋スナゴケを採取した時のトレーを6月初めより遮光してみました。

  

   採取時にトレーに新聞を敷いただけなのですが、良いとこ採りをしたスナゴケ。新聞紙も朽ちてしまいましたが、スナゴケは青々としているのです。
つまり遮光することにより乾燥防止となり、成長モードが続いている他ありません。

(オ) 売れ残ったスナゴケパックもこの通りよく育っています。


   そしてすぐに行動に移したのが、多肉植物の棚に置いてあったミイラ化したスナゴケパックを遮光の下に移動させたのです。

(カ) スナゴケだけに限ったことではないのですが、水分の補給さえあれば青々としてくること・遮光下に置き、乾燥を防ぎますとやはり青々してくること。 そしてその成長が充分になりますと保水力が増し、常に青々としたスナゴケが見られるのではと思われます。
逆に考えますと、苔は乾燥防止に茶色となり休眠状態になっていることがわかります。

(キ) ベランダ園芸で苔を育てるには
1). 一年を通して水分補給を充分にする。
2). 高温時の夏、水分補給が充分できない場合は遮光してやり蒸散作用の抑制に努める。
 苔も植物であって、一般の植物とそう違いはないように思えます。


(4) 梅雨の雨 

梅雨入りしてから一向に雨がふらなかったのですが、ここへきて毎日のように雨が降りました。
すると一転スナゴケも成長モードに入りましたのです。

浅鉢に何年かすると盛り上がるように成長しましたスナゴケです。苔盆栽としては立派かと思います。
 
6月19日 遮光の下へ移動したスナゴケも元気を取り戻していました。
イチゴパックに育てていましたスナゴケも青々としてきました。
右下段のパックは6月19日の画像では少し焼けていたのですが、他の3点も茶色く休眠モードだったのですが。
 
2016年晩秋にスナゴケの軸だけを播き苔にした、乾燥がひどく、成長どころか縮まってしまっていましたスナゴケも、 保水するとこの通りになります。
 
遮光下で保水力を回復し、青々しくなっていましたスナゴケも更により美しく育ってきました。
 
平成29年6月29日  
 
雨の降らない空梅雨、休眠状態で少し焼けていましたが、一転してこの成長ぶり。
青々としてきました。
平成29年7月9日  
 

弊園では地下水脈がないだけに、自動灌水もできず、水道水を人の手で水やりしております。
よく考えますと、苔をベランダで楽しむ、或いは庭で楽しむ、苔盆栽を楽しむ方々と同一条件になっています。
苔をよく育てるにはやはり水であることがよくわかります。

 平成29年7月21日  




9.日陰の苔、日向いの苔

(1)日陰の苔

(ア)ハイゴケ  
一般的にはハイゴケは「日陰の苔」とされています。山では木々の下、つまり林床に生育するイメージが強い苔です。
ところが、苔玉に使用したハイゴケ。これを一日中炎天下給水トレーに水を張り養生しました。


この画像を見る限り、ハイゴケは焼けていません。つまり、給水があればハイゴケは焼けないということになります。
そしてそれは、日陰の苔ではなくなるのではと考えられます。おそらくは降雨量との関係から林床の下へ移動した歴史があるのではと思います。 つまり、現在の降雨量がハイゴケを日陰の苔とたらしめた由縁かと思われます。



(イ)生ミズゴケ  
生ミズゴケは自然界に於いては日陰の苔とされておりますが、栽培してみるとこれこの通り炎天下の野外でよく育っています。


  

これはミズゴケ表面の気化熱にてミズゴケに熱が帯びないことから起こる現象かと思います。
この気化熱を上手に利用することにより、生ミズゴケを育てるポイントになります。

平成29年7月21日  




10. 水を好む苔


水を好む苔 乾燥を好む苔
1.スギゴケ
2.生ミズゴケ
3.ウィローモス
4.コウヤノマンネングサ
5.ヒノキゴケ
1.ヤマゴケ


1.スギゴケ


(1)オオスギゴケの生育地を訪ねて 2016年12月9日
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滋賀県甲賀市付近の低山の山に苔を探しますと、山の斜面には自然のオオスギゴケの自生がみられます。 斜面全体に見られるのではなく、一部によく育ち、他には全く見られません。スギゴケもかなり水分を必要とする苔ですので、おそらくはこの部分に地下水脈が露出しているのではと思われます。 山に降った雨がこの辺りからしみ出ていると考えられます。
このオオスギゴケはどちらかと言いますと日陰を好むスギゴケです。辺りは谷のようになっており、 一日辺りの日照量も少ないことと合わせますとこの近辺にはオオスギゴケの自生が見られるのではと考えられます。
近くで見ればきれいに育ったオオスギゴケです。 試しに引っこ抜きますと20cm位に育っています。 何年もかかって成長したのでしょうか。京都のお寺はこのスギゴケが有名ですが、市内のお寺のどこにでもスギゴケが見られるわけではなく、 前記に書きましたように山の麓とか、近いとか、或いは地下水位が高く常にジメジメしているとか、スギゴケの自生に条件がよいところかと思います。 同じ市内でも、庭が乾くところにはスギゴケは生育せず、スギゴケの美しい庭は見られません。


●京都のお寺の庭
 
IMGP4935
百万遍 知恩時嵯峨 大覚寺
 


【育て方】
1.湿生の苔
 ウマスギゴケは本来「日陰を好む」「湿地を好む」という2つの条件がうまくかみ合うことによって
 自然に育っているかと考えられます。

2.伏流水限定
 京都のお寺は苔の庭園が美しいと言われ人気スポットでもありますが、その立地条件は「山の裾野」つまり山に降った
 雨水が自然に滲み出すところ、伏流水が常にあるという立地条件が必ずといってよい程「美しい苔庭園」となって
 いると考えられます。

3.好日性の苔
 そしてウマスギゴケは耐暑性も持ち合わせる性質だったのでしょうか。水の補給さえあれば育つ条件になったとみえ、
 その美しい苔庭園には日光が散々と当たっている場合も少なからずみられたのでは?

4.ウマスギゴケを生産している苔生産業者も伏流水が充分あって太陽がよく当たっているところで
 生産されているようでした。或いはスプリンクラーを使用した自動散水による生産と考えられます。

5.その好日性だけの姿を見て、ウマスギゴケは「日光を好む」と解説され、基本の条件は無視された内容が
 このウマスギゴケの悲劇でもあったように思えるのです。

6.ウマスギゴケを育てるポイントは「水を好む」性質です。
 自然では、自然の雨だけが頼りであったため、ウマスギゴケは常に湿った条件、つまり伏流水がある、しかも
 乾燥が少ない山の日陰に生育地を見つけたものと思われます。
 同じ性質にはミズゴケがあるかと考えられます。
 弊園で吸水トレーを利用して実験しました。

 但し単なる水道水を冠水しておりましたので育ちは今一歩ですが、この実験を見ておりましても水が必要ということがわかります。
7.ではよく育てるには苔といえども植物です。
 一般の草花を育てるには水と肥料、そして日に当てるというのが基本かと思います。
 この杉苔も同じ管理かと思います。
 ア) 日照条件を考える。
 イ) 水を切らさない。(周りに建物、或いは樹木が全くなく、乾燥ばかりしているところは無理かと思います。
   やはりジメジメしているところが良いのではと思います。
   或いは成長期、或いは夏でも毎日朝夕水をやることに心掛けて下さい。
   要は乾燥させないことです。
 ウ) 肥料は
   やはり水を切らさないというのが鉄則ですから水遣りする時に液肥を使うというのが最も便利かと思います。
   但し市販の家庭用の液肥では高くつきますので要注意です。
   安価に上げるにはネットで安価な液肥を探してはいかがでしょうか。(探せない人は尋ねてください。)
8..枯れた場合は(よく相談を受けますが)
 実は苔は蘇るのです。
 この生命力は生科学者が研究しているはずです。
 例えばビロード苔といって道路の脇によく見られる苔があります。
 この苔は梅雨の頃は青々としていますが、夏の乾燥時にはどこにあるのかわからないぐらい乾燥しきっています。
 でも秋雨の頃になると青々とした苔が復元しているのです。
 つもりこの杉苔も一旦茶色くなっておりましても水さえやれば必ず青々とした苔に戻ります。
 その時に肥料を補助的に使えばより早く青々とした苔になります。
 そのようなことで諦めずに管理してやって下さい。


2.生ミズゴケ


1.弊園に入荷しましたのは4月頃だったかと思います。あまり状態の良くない「育っていないミズゴケ」でした。
 自生地は水が少ない状態で育っていたかと思います。

同一の商品ではありませんが大体このような状態でした


2.その後弊園にて管理したミズゴケです。

  

 底にビニール一枚敷いただけの極めて簡易的な育て方ですが、水さえあれば育つことがわかります。
 つまり、ビニールに張った水が多いことが要求され、水を好むコケであることがわかります。
3.このミズゴケの種類は不明ですが、中目くらいの大きさかと思われます。
4.育ったミズゴケを裏返して底面を見ますと、採取時の若干の砂が付着している以外、根らしきものも無く、
 ただ単に水を吸って育っていることがわかります。

  

5.よく育ってきました生ミズゴケです。


 同一商品ではありませんが、入荷期がほぼ同じであり、大体このように育っているかと思われます。



3.ウィローモス


 

準備中






4.コウヤノマンネングサ


コウヤノマンネングサの水中の育て方
   実はコウヤノマンネングサは水に強いということで多分昨年の夏頃だと思いますが、ハネの小株を洗面器に
   漬けておきました。本来ならポットに定植しているところですが、忙しく、その内にと思っていたのですが、気が付けば
   洗面器から新芽を出しているではありませんか。

  
平成29年5月27日 撮影   

   弊園ではコウヤノマンネングサは給水トレーで培養していただけに湿生植物と考えていましたが、上記の洗面器の
   育ち具合から考えますと水生植物の抽水植物或いは沈水植物の性質も併せ持っている苔であることがわかります。
   水生植物のコウホネは分類上抽出植物とされ、水中では水中葉を出し水中での観賞を可能としていることは
   共通した性質なのかもしれません。
   但し根が空気に触れることが少なくなりますので、後の解説にある給水トレーにて育てることと合わせて考えますと
   やはり育ちは少し劣るように思えてきます。

   その後の成長

平成29年7月31日 撮影   




給水トレーを使った実験
 (1).平成28年春以来数次に渡り入荷しましたコウヤノマンネングサ。
  それより平成27年にはわずか入手しておりましたがどう管理してよいやら。
  そこで考えましたのが給水トレーに常に水を満たして育てることでした。
  この給水トレーを使いまして約一年を経過しております画像です。

 


 (2).給水トレーに養生しておりましたコウヤノマンネングサも冬の間、枯れたようになっておりましたが、
   新芽が出てどんどん成長してきました。
   但し、昨年は水だけでしたので草丈が低くなってしまったのですが、本年は液肥でもやればよいかと考えております。

  
平成29年5月4日 撮影   

   入手しました折には腐葉土の層に根を張っておりましたので、そのままの状態で給水トレーで育てました。
   本来コケは土が無くても育ちますので、発送時は根洗いをしまして腐葉土等を洗い流してお送りしております。
   ポットに植えつけているのは、そのハネ(つまり一茎に一葉程度しかない小株)です。

 (3).平地では4月から6月が成長期。よく育ってきました。

  
平成29年6月12日 撮影   








11. 乾燥を好む苔


水を好む苔 乾燥を好む苔
1.スギゴケ
2.生ミズゴケ
3.ウィローモス
4.コウヤノマンネングサ
5.ヒノキゴケ
1.ヤマゴケ


1.ヤマゴケ

盆景にガーデニングに、そして京都では社寺の庭園にも大変人気のある苔です。
ヤマゴケは自然では、ビロード状の団結力の強いコロニーを作り育っています。このコロニーこそが乾燥に強い苔とたらしめているかと思われます。 むしろこの乾燥がヤマゴケを育てるポイント、つまり降雨によって吸水したヤマゴケはその後の乾燥することによって枯れない苔へと進化したのではと思われます。
言い換えれば、高温多湿の環境つまりムレには弱い苔であるとも言えます。
他の植物で同様の性質を持ているものにラン科植物の着生ラン或いは地生ラン。ヨーロッパ産のクリスマスローズ等が同様かと思われます。

そのヤマゴケの好む環境を自然に学ぶことが育てる早道でもあるかと思われます。
  1.兵庫県三木市 秀吉本陣跡



  2.奈良県 唐招提寺



  3.京都市 京北町
  山が深く、比較的うす暗く湿度が高いと思われるヤマゴケは木の下部に着生した状態で育っているかと思われます。


平成29年9月7日 記入  






番外編.テラリウムのカビの発生は


テラリウムのカビは、結果としてここ何十年間のガーデニングの培養土の解説、或いは解説者の誤った歴史の延長線上の終着駅でもあります。

1.カビは死物寄生菌です。シイタケ栽培では”ほだ木”に菌を植え付けるのとほぼ同じことをテラリウムの世界でやっています。
ですからカビの栄養となるあらゆる有機物、例えばピートモス・腐葉土・樹皮等を培養土の材料として使用しないことが肝要です。

2.実は弊園はガーデニングの世界の長年の解説の誤りを訂正すべく、 「ガーデニングの基礎知識 培養土編」を入力する予定です。
この解説は従来のガーデニングを否定するだけに何年も悩んできました。けれども、今後誰がそれをするか否かです。
幸いにも弊園の「クリスマスローズの土」は他店でも認められ、類似品が販売されています。そして現在は「多肉植物の土」も販売しておりますがご好評をいただいております。
今後、「テラリウムの土」として販売・解説をしていきたいと思います。


苔の育て方を解説するにあたり、コウヤノマンネングサの解説に重点を置き昨年秋(2016年)よりコウヤノマンネングサを有機物の混入の無い”山野草の土”で育て始めました。
その結果はよく育っているのです。
つまり、鉢植えに限って言えば、有機物は苔を含む植物全般の成長に一切関係がないのです。





番外編.苔玉の管理は


以前、石田精華園といえば苔玉と言われていた時代もありました。そして必ず聞かれるのが「枯れてしまいました。」「どうやって管理をしたら。」 という話です。
お話をしている間にわかってきたのですが、皆様室内で楽しんでおられることでした。
つまり苔玉は「初めに室内ありき」であったことが苔玉の人気と裏腹に苔玉が100%といってよい程枯れる運命にあったのです。

1.苔玉のルーツは
盆栽は江戸時代より発展してきたかと思います。その元祖はおそらく室町時代にまでさかのぼるのではないでしょうか。 そしてその盆栽を飾る場合、副に下草と言われる草物盆栽が使用されます。その草物盆栽も植え替えしないで根が回ってきますと、 ある種類によっては鉢から抜いて水盤等に飾る手法がとられます。これを根洗いといいます。


 

 この根洗いは草物盆栽が元ですから、やはり季節的に涼しさをを呼ぶ夏の風物詩でもあったかと思います。 つまり「夏のおしゃれな楽しみ方」であったのかもしれません。



2.では冬はどうであったか?
弊園が苔玉を販売しておりました全盛期の年末に葉牡丹の苔玉を製作しました。これが大ヒットしたのですが、 余りにも注文が多く最後には花き園芸市場のセリ場の片隅をお借りして納品したことが昨日のように思い出されます。
その製作工程をセリが始まる前にバイヤーの方々が集まって見られたのです。そしてこれは「にぎりやなぁ」と口々に言われるのです。 なるほど、当方がまだ小学生か中学生の時代には天秤棒を担いだ花売りのおじさんや、しょいこに入れて鉢花を売り歩くおばさんがおられました。 そして年末には葉牡丹を主とした大きな苔玉を売り歩いておられたのでした。当方がそのむかしの頭がどこかにあったのかもしれません。 年末の苔玉の企画を考えている時にそれにピッタリのおどり葉牡丹と出くわしたのでした。早々に全量を予約し、苔玉に取り掛かったのでした。
その「にぎり」とは当時の家の玄関飾りであったのです。下菜を生育期間中採り腰をあげた葉牡丹、副にシュンラン、足元に福寿草(無い場合はショウジョウバカマ) ヤブコウジ等が入れられ、それこそハイゴケで化粧してあったのです。
そしてその「にぎり」は花き園芸市場に出荷され、セリを待つばかりに並んでいたことを、その苔玉を作ったその花き園芸市場で何十年かぶりに、そしてそれが最後の 見る機会でもありました。
当時の観賞は水盤も無く、ただ単に玄関脇に大きな苔玉が置かれていたと想像していただければよいかと存じます。
この冬のにぎり、夏の根洗いが現在の苔玉へと変化し、発展してきたのではと思います。



3.では苔玉の管理は

①元々苔玉の材料は野生植物であったり、湿生植物であったり、盆栽素材であったりして、いずれも好日性の植物が使用されたかと思います。 それが意に反して購入された方々は「かわいいから」「おしゃれだから」といって室内にて観賞されてしまったです。
好日性植物を室内で観賞しますと、どんな植物でも結果として枯れてしまいます。


②それではということで室内観賞用にと観葉植物の苔玉を作られたのは当たり前といえば当たり前の話です。
ところが今度はハイゴケが茶色く枯れていくという現象が起こってきたのです。

平成29年7月27日 














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